▼2012.01.09
カインの遺骨
アベルの楽園
ヘビは言う。二人は赦された、と

飴玉のように甘い憎しみ
カシスと金平糖
不変遊戯
ダンスホールは神様の手の平で
終末の晩餐会
隠し扉と錆びた錠前
コペルニクスの日記
永遠に凍りつく花火
湖の中のお茶会
銀河で密会
まだ生きている内に
夜明けと引き金
箱の中の足音
氷の城のシンデレラ
少年と餌
彼と彼女といつもの僕と
愛しかないから大丈夫
穴が空いた知恵袋
水底の蒼
助けて、僕がどこにもいないんだ
死神様の言うとおり

▼2011.08.15
背中をあわせた友情
手の平の間の恋情
唇ではさむ愛情

シリウスと氷砂糖
擦り切れたフィルムに映る
最期のくちづけは誰にもあげない
クレマチスと嘘の種

あいのきょうき
あなたがくれるものなら死だって愛してみせる
血も肉も心も私が全部食べてあげる
孕んだのはあなたを想う私の愛だけ
赤い唇で全てを真っ赤に染めましょう
あなたの生死は私があなたを愛する事には関係ないわ
純愛ほどひどい嘘なんてどこにもないの

雨細工童話
シンデレラはいじわるな姉たちに足を切られてしまいました
毒りんごを食べさせたのは王子様の母でした
糸車に針なんて最初からどこにもありませんでした
人と同じ足を手に入れた人魚は海に帰れなくなりました
アリスは次の日も、その次の日も、まったく同じ夢を見続けました

愛を食べて生きる狼
雨と一緒に落ちてきた祈り
囁くように目配せを
じわりとしみる
さいはてにてワルツを踊ろう
綿菓子のように笑う

夜なんか明けなければ良かったのに!
ありがとうもさようならもぜんぶもっていくよ
ふたりがひとつだったことの証明をしよう
その腕に その腕に 二度と還れない
それは絶望か羨望か

▼2011.05.09
言葉を捨てて
体温を消して
それでも心は

まどろみ、甘い夢、君の、
君は何もしなくてもいいよ。だってここには何もない
耳元の吐息に安堵する
ハーブを噛んで苦い顔
800個の嘘に名前をつけた
唇をかんでキスをした
心臓から届く救援信号
ヒントよりも正解を
ワンナイトトラベル
春を捕まえに行くよ
星の種
苺と呪い
だってそんなの知らない
降ってきた奇跡
最悪のカメラアングル
もう僕を待っていない君へ
ナイフでこじ開けて愛と言う名の血を注ぐ
ありがとう さようなら あいしていました
甘酸っぱいオレンジの香り

春日の園遊会
真冬の演奏会
夏空の展覧会
秋風の舞踏会

嘘みたいな死に方
純度ゼロ
スピカの標本
ポラリスの空白
100gの悪夢
君を呼ぶための名前を僕は知らない


▼2011.02.16
愛されるという事は良い事だ
愛するという事はとても良い事だ
愛し合えたらそれはとても素敵な事だ

鷹狩りの余興
四季を乗せて走る汽車

カニバリズムで愛を謳え
狂った聖夜に踊れや踊れ
正義を監獄に押し込めろ

ある地獄番の当直日誌
角砂糖を溶かしたような夢
爪弾きの劣情
偽者の私から本物の私へ
変わることの美しさ 変わらぬことの美しさ

月殺し
闇喰い
星欠け

生クリームとブランデーのような関係
最後の熱帯夜
眉間に描いた皴
耳たぶに贈る
膝上に猫
腰を滑る音
愛しさを肌に刻む
「なんだろうね、これ。……なんでもいいけどね」
大罪探し
聖書を1ページ呑み込んだ
裸足で歩く砂浜のように
過去へ向かう明日
Forget me.(私を忘れて)
Let's Dance! Dance! Dance!

▼2010.12.xx
いつか、を待っている
いずれ、から逃げてる
いつも、なんてなかった

忘れることが楽しいのだ

やさしくないこども
うつくしいこども

愉悦と涙
朝起きて「まだ生きている」と呟いた
君が望むのなら飽きるまで愛をあげるよ
カラスは墜ちた
少女の声で君よ泣け
闇のない夜
不思議な海のドア
ピアノ弾きの黒猫と優雅に踊る白い猫
音澄(ねずみ)
私の心臓から愛が消えました
息をすることと、恋をすることは、多分同じこと
デジタルな出会い
夜空のソース
滲んだ宛名
ポケットの中の夢
風船に括りつけた手紙
世界で一番綺麗な恋
電話越しの内緒話
死んでしまった二人の話
シザー・ステップ
手を繋いでどこまでも、どこまでも